びんご・生と死を考える会 20周年を迎えて
びんご・生と死を考える会 代表 数野 博
「びんご・生と死を考える会」はお陰さまで発足以来20年を迎えることができました。本会の名誉会長で「生と死を考える会全国協議会」の名誉会長でもあるアルフォンス・デーケン先生とデーケン先生ご推薦の音楽療法士・新倉晶子さんをお迎えして20周年記念講演会が開催できますことは、私たちの大きな喜びとするところです。これまで色々とご指導頂いたデーケン先生や「生と死を考える会全国協議会」会長の高木慶子先生、全国各地の「生と死を考える会」の皆様、ご支援を頂いた会員と役員の皆様、そして会の運営にボランティアとしてご協力下さいました皆様をはじめ、いつも暖かく見守って会を支えて下さった多くの方々に心から感謝申し上げます。
倉敷の伊丹仁朗先生たちの「生きがい療法」を参考にして、発足の準備をしていたがん患者の会は、NHKスペシャル「人間はなぜ治るのか」に勇気づけられて、1993年4月に全人的医療を目指す「あすなろ会」として出発しました。がん患者と家族、ボランティアによる定期的な学習会と講師を招いての講演会は、熱心な会員の方々の参加で順調に会を重ねましたが、病気の性質上残念ながら欠けて行く会員もあり、やはり死というものを避けては通れないということを学びました。
発足5年目に「びんご・生と死を考える会」と改称して、備後の医療・福祉・文化の向上を目指す市民の会として再出発し、「生と死を考える会全国協議会」(現在団体)に加入して歩みを続けました。「びんご・生と死を考える会」は人間の生と死が意味することや、自分自身の死や愛する人の死にどう備えるかを考え、支え合い、生きがいを求めて共に歩もうとする市民の集いです。言い換えれば、誰にも訪れる死を考えることによって、いのちや生きることの大切さを学ぶ会です 年に東京でデーケン先生が立ち上げられた「生と死を考える会」の目標は、①死への準備教育の普及・促進、②終末期医療の改善と充実、③死別の体験者への分かち合いの場を提供し、支えるという三つですが、私たちの会は発足のきっかけであり活動の中心としていた「がん患者とその家族への援助」も続けています。2000年7月からは、作家の故・遠藤周作氏の「心あたたかな病院運動」を継承されている遠藤順子さんの依頼を受けて「心あたたかな医療番」という医療・福祉の相談窓口の活動を全国に先駆けて私たちの会で始めました。
また年2000年9月からは、月例講演会を兼ねてホスピス・ボランティア養成講座を3年間行い、備後地区にできる緩和ケア病棟やホスピスへの支援活動に備えていますが、私たちは病院にできる緩和ケア病棟という施設としてのホスピスだけでなく、自宅で人生の最期を迎える人とその家族を支えるためのシステムとしての在宅ホスピスを普及させることも目標にしています。その後は講座の名称を「市民のための緩和ケア連続講座」として、緩和ケアについての啓蒙と普及のために多彩な講師を招いて講演会を継続しています。 私たちはこれからも、すべての人にいつか必ず訪れる死について考え、そしていかに生きるかということを考え続けたいと思いますので、今後とも会の活動についてのご理解とご指導を賜りますようお願い申し上げます。